見守り愛 〜ビタースイートな副社長と一目惚れの恋を成就したい〜*おまけ終了*
「私も『酒乱』とか『変態じみてる』とか言われるのは心外だから。不可抗力です、と伝えておきたかったんです」


それだけです、と言うと立ち上がって去ろうとした。
これで副社長の私を見る目が変わるかどうかは謎だけど、目的だけは果たした…と思った。


「それじゃ、お邪魔しました」


立ち上がって膝についた枯れ草や土を叩く。
サッと彼の方を見ると返事もなく、愛想悪っ…と思いながら背中を向けた。



「…おい!」


呼び止めるように後ろから声がするから、何よ…と思いながら首だけ捻る。
視界の端にはこっちを向いてカップを差し出している彼が映り、(え?)…と思って(ひるがえ)った。


「折角此処に来たんだから、これくらい飲んでいけ」


ステンレスのマグを見せ、「ココアだ」と教える。
キョトンとしていると、「早く来い」と呼びつけられ、慌てて、「ああ…はい」と側へ寄った。


手渡されてくるカップからは白い湯気が立ち昇っている。
それを見ながら副社長へ目線を送ると、彼はリュックに引っ掛けていたマグをもう一つ取り上げ、焚き火に掛けた鍋の中のものをゆっくりと注ぎ始めた。


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