見守り愛 〜ビタースイートな副社長と一目惚れの恋を成就したい〜*おまけ終了*
いやー、流石はメンタルケア担当!…と変に褒めちぎられてしまい、返って恐縮する。

この会話術は自分が経験上から会得したわけではなく、全て前にこの仕事を担当をしていた先輩から受け継いだ技術の一つに過ぎないのだ。


恐縮したまま私は大橋さんと高吉君の今後のことで方針を話し合ってから別れた。

皿を変えてデザートの並ぶテーブルの方へと張り付き、ハ…と息を吐きながら肩を落とす。


(何だかもう、胸がいっぱいになっちゃった)


美味しそうに見えていたケーキやゼリー類には手を出さずにぼうっとしていた。
ザワザワと賑やかな周りの声も右から左へと聞き流し、ボンヤリとして、少し我を忘れていた。


ぐいっと腕を持ち上げられたのはその時だ。
ギョッとして視線を上げた途端、視界に入ってきたのは今日一番話をしたかった相手。

その顔を視界に収めた瞬間、ぐっと喉奥から何かが湧き上がってくるのを覚えて、咄嗟に唇を噛んだ。
噛みしめるように声を漏らすのを我慢していたら、上からボソッと声が降り注いでくる。


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