見守り愛 〜ビタースイートな副社長と一目惚れの恋を成就したい〜*おまけ終了*
「媚って」


何のことよ…と相手を見つめ返せば、全く動じられもせず。


「この間からあんたをずっと見ているが、どうにも周りの連中に媚を売り過ぎだ」


このままではいつか自分が潰れるぞ、と未来を予想し、こっちは益々困惑しだす。


「なっ…」


何を根拠に…と言いたくはなったが、ハッと気づくと周囲の視線は間違いなく私達二人に注がれている。

彼の背後では、さっきまで円陣を組んでいた女性達が囁き合っている。
誰よ、あれ…って感じで鋭く睨まれ、ボソボソと囁き合う話の内容までが容易に連想できそう。


「ご忠告感謝致します!」


さっと頭を切り替えて手早く一礼した。
とにかくこの場を丸く収め、とっととこの部屋から立ち去ろうと考えた。

キリッとした態度を見せると、相手は一瞬驚き、沈黙に変わる。
よし、今だ…!と踵を返せば、足を踏み出す前に手を取られ、あっという間に忘年会場から連れ出されてしまった。



(えええっ!?)


もう展開に頭がついていかない。

どんどん廊下を歩かされて、あっという間に非常階段の踊り場まで辿り着き、ドン!と背中を壁にくっ付ける。

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