見守り愛 〜ビタースイートな副社長と一目惚れの恋を成就したい〜＊おまけ終了＊

「誰にでも媚びを売るな」


漏らした一言に反応して、彼を視界に収める。

真っ直ぐに見つめる眼差しの中には自分が写っていて、戸惑う様な表情に目を見張り、答えようもなく無言を続けた。


「妙に放っておけなくなるんだ」


そう言うと、身を翻して自分の背中を壁に付けた。

ハァーと息を吐き出す彼の横顔を見つめ、急に囲いから解放された私は、呆然としたまま目の前の空間へと視線を戻して、頭の中で今言われた言葉の数々を反芻する。



（誰にでも媚びを売るな、と言われても……）


別に媚びを売っている訳ではないし…と弁解。



（放っておけなくなる、と言われても……）


それはただ、貴方の問題じゃないのですか？…と問いたくもなる。



（…何この人、ドSか何かなの？それともただの紳士？）


どっち？…と思いながら、壁に背中を付ける相手の方へと目を向け直した。

白いワイシャツの上に濃いグレーの上着を羽織り、品のいいブルーネクタイを締めている相手を見つめ、やっぱり馬鹿みたいに目線は外せなくなって＿＿。