禁猟区のアリス
12
ウサギがくるくると熱いミルクをかき回す。角砂糖はまだ、ひとつも入っていない。
「このキャニスターから、君は迷うことなく角砂糖を取り出したね。どうして君がこれを砂糖壷だと知っていたんだい?」
ウサギは二つのそっくりなキャニスターをテーブルの真ん中に置いて、ふたを取った。
ひとつには角砂糖。もうひとつには……。
「これは塩だ。マスターこだわりの岩塩が入っている。ふたを取れば一目瞭然だけど。どうして、アリスにそれがわかったんだい?」
甘いココアが、胃の中でムカムカと不快に這い上がってくる感じがした。
わたしの死因はギャクタイによるデキシ。
私の罪状は虐待による殺害。
そうか、私は……。
ウサギがじっと私を見つめて、それから興味を失ったようにあくびをした。黒猫が、紅茶のカップを私の元へ運んできた。
ソーサーに置かれたスプーンの上には、角砂糖がひとつ乗っている。
私は熱い紅茶に角砂糖を落とし、いつものようにスプーンでかき混ぜた。その液体からは、上品で芳しい香りが立ちのぼった。
ウサギがくるくると熱いミルクをかき回す。角砂糖はまだ、ひとつも入っていない。
「このキャニスターから、君は迷うことなく角砂糖を取り出したね。どうして君がこれを砂糖壷だと知っていたんだい?」
ウサギは二つのそっくりなキャニスターをテーブルの真ん中に置いて、ふたを取った。
ひとつには角砂糖。もうひとつには……。
「これは塩だ。マスターこだわりの岩塩が入っている。ふたを取れば一目瞭然だけど。どうして、アリスにそれがわかったんだい?」
甘いココアが、胃の中でムカムカと不快に這い上がってくる感じがした。
わたしの死因はギャクタイによるデキシ。
私の罪状は虐待による殺害。
そうか、私は……。
ウサギがじっと私を見つめて、それから興味を失ったようにあくびをした。黒猫が、紅茶のカップを私の元へ運んできた。
ソーサーに置かれたスプーンの上には、角砂糖がひとつ乗っている。
私は熱い紅茶に角砂糖を落とし、いつものようにスプーンでかき混ぜた。その液体からは、上品で芳しい香りが立ちのぼった。