禁猟区のアリス
4
ママは紅茶にレモンを入れる。
カルナはミルクティー。優しくて甘い、ミルクティー。
パパは角砂糖をひとつ。
わたしにとって、紅茶は幸せな家族の象徴だ。
わたしも欲しい。わたしも欲しい。
どんなに望んでも、手に入るわけがなかったが。それでもわたしは渇望した。何度も何度も。
今、目の前で湯気をたてている紅茶は、パパが飲んでいたのと同じものだろう。ソーサーに置かれたスプーンの上に、角砂糖がひとつだけ、乗せられていた。
「アリスは僕のことも覚えていない」
興味深そうにウサギが言った。
「忘れないでって、あれほど言ったじゃないか。僕のミルクには、いつも角砂糖を3つ入れるんだって」
ウサギはテーブルの上に顔を伏せて、ミルクのカップをわたしの方へ押した。組んだ腕の隙間から、ちらりとわたしを見ている。
ママは紅茶にレモンを入れる。
カルナはミルクティー。優しくて甘い、ミルクティー。
パパは角砂糖をひとつ。
わたしにとって、紅茶は幸せな家族の象徴だ。
わたしも欲しい。わたしも欲しい。
どんなに望んでも、手に入るわけがなかったが。それでもわたしは渇望した。何度も何度も。
今、目の前で湯気をたてている紅茶は、パパが飲んでいたのと同じものだろう。ソーサーに置かれたスプーンの上に、角砂糖がひとつだけ、乗せられていた。
「アリスは僕のことも覚えていない」
興味深そうにウサギが言った。
「忘れないでって、あれほど言ったじゃないか。僕のミルクには、いつも角砂糖を3つ入れるんだって」
ウサギはテーブルの上に顔を伏せて、ミルクのカップをわたしの方へ押した。組んだ腕の隙間から、ちらりとわたしを見ている。