ホームズの子孫はピンチになると駆けつける
このまま帰った方がいいのかなと思ったけど、もうケーキと紅茶を注文してしまった。今さら帰るのも失礼だ。

真っ青になりそうな私に気付いていない園子ちゃんは、「楽しみだね〜」と笑っている。そのマイペースな心をわけてください、と心から思った。

紅茶やケーキが運ばれてくるまでのこの時間が、まるで数時間のように感じた。ジェイムズさんが銃を向けてきたらどうしよう、と思うと緊張が拭えない。

「お待たせしました、紅茶とケーキです」

緊張している私に、背の高い従業員の人が紅茶とケーキを目の前に置いてくれた。人懐っこい笑顔や雰囲気は、接客業に彼が向いていることを示している。

「あ、ありがとうございます……」

私は後ろにある恐怖からか、少し強張った笑顔を見せた。その時、従業員の人の目が見開かれる。

「どうしてここにいるんですか?ホームズさん!」

園子ちゃんが従業員の人の腕を掴み、ニコニコと笑った。私は驚きながらも、顔が青ざめていくのを感じる。ホームズさんは、ジェイムズがこのカフェに来ることを調査で突き止めた。だから、従業員として潜入調査をしてたんだ。
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