ホームズの子孫はピンチになると駆けつける
「何の話ですか?僕はここの従業員ですよ」

従業員ーーーホームズさんは園子ちゃんに笑いかける。しかし、園子ちゃんは首を横に振った。

「ううん。あなたは、シャーロック・ホームズさんでしょ?足音や手でわかった」

その刹那、園子ちゃんがホームズさんの腕を引き寄せ、頭に手を伸ばす。ホームズさんは慌ててその手から逃れた。でも……。

「おい、本当にお前はシャーロック・ホームズなのか?」

コーヒーを飲んでいたはずのジェイムズさんが、いつの間にか私の近くにいる。ジェイムズさんは着ているスーツの中に手を入れていた。まさか、あの中に拳銃が……。

「違います」

ホームズさんはそう何度も言った。でもそのたびに園子ちゃんが否定する。ジェイムズさんは焦りや不安を顔に滲ませていて、その近くにいる私はますます緊張した。

「もういい、帰る」

ジェイムズさんはくるりと背を向けた。私とホームズさんは顔を見合わせる。マフィアの幹部が逃げてしまう。

「隙あり!!」
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