メリークリスマス!
仁は自分の頬も同じように赤くなっていることが気づかれないように前を見て歩き出した。

握っている奈央の小さな手が熱い。
自分の手も熱い。

もうどちらの手の熱かわからない。

イルミネーションの前まで来ると奈央からぱっと手を放してしまった。
名残惜しさを感じながら仁はイルミネーションの方に視線を向けた。

「きれいだね」
「あぁ」
「来てよかったね。」
「あぁ」
隣には奈央。

ちらりと奈央を見ると寒そうに自分の手に息を吹きかけていた。
イルミネーションの光が茶色の奈央の瞳に反射してまぶしい。
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