メリークリスマス!
華にとってはいい思い出だけではないこの場所に家を建てることを決めてからも隆弘は不安だった。悲しい思い出を思い出してしまうのではないか、不安な気持ちを持ってしまうのではないか。
でも華はそんな心配をよそに明るかった。

過去を完全に乗り越えたわけではない。
隆弘もそんなことは望んでいない。

過去を認めて抱きしめて、前向きに自分と歩んでほしいと思っていた。

華は過去をありのままに抱きしめて歩き出していることを隆弘は感じていた。

いつか自分にも悲しみや苦しみを背負わせてほしいと思いながら、華が笑っていられるようにと隆弘は思っていた。

「ありがとう」
華が隆弘をみて微笑む。
隆弘はそんな華の頬に口づけた。

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