メリークリスマス!
広いリビングの中央に大きなソファがある。
奈央はよくそこで眠っている。
その姿を見ると隆弘は過去を思い出してしまった。
ひとりリビングの中央で小さく小さく体を丸めて眠っていた華の姿を。

「あったかいの飲むか?」
「うん。」
華をそのソファに座らせると隆弘はキッチンへ向かった。
カフェインレスの紅茶を淹れて自分にはコーヒーを淹れて華の元へ戻る。

すると華がそのソファに横になっていた。

「疲れたか?」
最近華は疲れやすい。
隆弘は淹れた飲み物を机に置くと華の横に座った。
「毛布、持ってこようか?」
「うんん。平気。」
「寝ていいんだぞ?今夜はうちに行く予定だし。」
隆弘の父はもうすぐ生まれる孫に夢中で、しょっちゅう華の好きなものや高級な食材を買ってはそれを理由に家に二人を呼んだ。今夜はすき焼きの予定だ。
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