メリークリスマス!
まだ生まれて数カ月しかたっていない我が子への愛おしさは言葉にできないほど膨らんでいた。
目の中に入れても痛くないとはこういうことかと二人は実感している。

生まれる前から赤ちゃんへの想いが大きかった啓吾も、生まれてからもさらに想いは膨らんだ。

父親とはこういうものなのかと実感させてくれる我が子の存在に感謝しながら自分自身の幼いころの記憶を思い出していた。

栞菜も同じだ。
昔の自分にもしも会えたら教えてあげたい。この無条件に感じる愛おしさや守りたいと思う気持ちを。だから安心してほしいと・・・悲観せず自信を持ってほしいと・・・。

「愛してる」
啓吾が過去を思い出して表情のくもった栞菜に気が付き再び強く抱き寄せてくれた。

この人に守られて、必要とされている。いつも実感させてくれる啓吾に感謝しながら、自分も精一杯愛している栞菜。

「愛してる」
そう返しながら栞菜は啓吾の頬に口づけた。
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