メリークリスマス!
夜中に目を覚ますと目の前に渉の寝顔があった。
多香子が病気になってから、自分の仕事を調整したり、勤務時間中にかなり仕事を詰め込んでいる渉。一緒に長年勤務してきたからこそその負担の大きさが多香子にはわかる。まして、妊娠中の多香子を気遣って家のことも行う渉の表情は疲れがにじんでいた。

そっと渉の頬に触れる。

渉は気持ちよさそうに眠りながらその手は多香子のお腹に触れていた。

大きな渉の手のぬくもりを感じながら、自分が守られている感覚に多香子は安心する。
でも、渉にとって今の自分が負担になっているのではないだろうかと心配になることも多い。

うまくコントロールできない体。子供のためにも無理は絶対にできない。だからこそ、心と体がうまくかみ合わないことを感じていた。

そんなことを考えていると急にお腹が張りだした。
妊娠後期のマイナートラブルはお腹の張りだけではない。

息苦しさが過換気症候群の発作を思い起こさせる。
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