メリークリスマス!
多香子は目をギュッと閉じて自分の呼吸に集中した。
大丈夫。大丈夫。

こうして言い聞かせながら自分自身の感情をコントロールしようとする。

そっと渉の手に自分の手を重ねて、渉のぬくもりを感じるとコントロールがうまくいくような気がしていた。

「・・・ん?」
多香子ははっとして寝たふりをする。
自分が起きているとわかれば渉が心配する。

ただでさえ負担をかけているのに。

なるべく普通に呼吸しながら眠っていることを装う。

「・・・」
渉が目を覚ましたらしく多香子のお腹に触れていた手を動かした。
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