メリークリスマス!
「食事も大切だけど、これの方がうれしいだろ?」
「もちろん!」
廉はそう言ってケーキを食べる支度を始めた。

「へたくそ・・・」
葵は皿の上に見事に横倒しになったケーキを見て頬を膨らませていた。
「悪い。でも食べれば味なんて一緒だろ?」
「見た目の大切だもん!」
廉が切ったケーキをさらに乗せることに見事に失敗してしまったことに葵は怒っていた。

「ほら。」
怒っている葵の体を起こし、その口にケーキを一口運ぶ。
すると見る見るうちに葵の表情は和らいだ。
「おいしいっ!」
好きなものを食べれば葵の機嫌はすぐに戻ることを廉は知っている。
「だろ?」
「どこのケーキ?」
「駅前の最近できたケーキ屋。これでも並んだんだぞ?予約してなかったからさ。」
と廉が自分の口にもケーキを運ぶ。
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