メリークリスマス!
「うまいな」
「おいしいね。もっと食べたい。」
葵が喜んで食事してくれることがうれしい廉はどんどんとケーキを口に運んだ。

食事も治療のひとつの葵。いつもはもっと食べるようにと廉に厳しく食事を勧められているが今日は自分から「もっと」といわれることが廉はうれしかった。

二人でケーキを楽しんだ後は廉はいつものように葵の病室から勤務に戻った。

廉のいない部屋で葵は小さなツリーを見つめる。

心の中では今年も廉とクリスマスを過ごせたことへの感謝を感じていた。
いつ、何があるかわからない自分の体。最近は体調が落ち着かないことが多くてほとんどを病院で過ごしている。

もう半年以上自宅へ帰っていない。

気持ちが不安定になれば体調も不安定になりかねない葵は自分の心を保つことに精一杯だった。
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