メリークリスマス!
「楽しい?」
「そう。信じていたほうが楽しい。もったいないだろ?時間が。」
廉の言葉は葵の心にも響いた。

疲れるといつも自分は信じられなくなる。
未来の自分と廉を想像できなくなる。
悲観して何もかもをマイナスに考える。
でも、だめだ。

廉が女の子に向かって穏やかに微笑んだ。


女の子が病室へ戻るのを見送った廉の横に車いすで葵が並ぶ。
「お前、聞いてたな」
「ふふっ。かっこよかったよ。お父さんみたいだった。」
「ばか」
照れて廉がツリーを見る。

この人をお父さんにしてあげることはできなかった。
葵は胸がちくりと痛んだ。
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