メリークリスマス!
たくさんの人の中でツリーをじっと見つめる女。樹。
病院からの帰り道。ふと足を止めてしまったのはクリスマス気分を味わいたいからじゃない。

子供のようだといわれるかもしれないが、もしもサンタクロースがいるならば叶えてほしい願いがあるからだ。

眠りについたままの恋人。陸の目が覚めることを願い続けている樹にとって、クリスマスの明るいイルミネーションはまぶしすぎるほどだった。

陸が生きていたら一緒にクリスマスデートを楽しんでいたかもしれない。

そんな夢の世界を想うと自分の今いる現実の世界がむなしくなる。

真っ暗なひとりの世界に生きる樹にとってまぶしすぎる世界はまるで神々しさを秘めているかのようにも見える。

もしも神様がいるならば・・・
もしもサンタがいるならば・・・

ほかには何も望まない。だから、陸を目覚めさせてほしい・・・。
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