メリークリスマス！

体力の限界だ。
帰ることすら面倒でこのまま眠ってしまおうかという欲求に逆らえない。

そんな佳子のフロアのドアが開く音がした。
自分の方へ向かってくる足音。

佳子にはその足音が誰のものか、すぐにわかった。

自分の隣で止まる足音。
次の瞬間佳子の頭を優しく投げる大きくて優しい手のぬくもり。
「お疲れ」
その声は聞き違えるわけがない。

龍仁だ。

仕事が終わるころを見計らって来たことも佳子にはわかっている。

いつもこうだ。
佳子のことを自分自身よりもわかっている。
だからこのタイミングなんだ。