メリークリスマス!
「メリークリスマス。」
「間に合わなかった。」
「いいじゃん。」
「だめ」
「いいの。」
「ダメだよ。せっかく予約してくれたのに。」
「俺が良いって言ってんの。」
「・・・」
がらがら声の佳子が龍仁に話す言葉に龍仁は佳子を抱きしめながら答える。

強がりな佳子が弱気になる瞬間がある。

「頑張ってくれたんだろ?間に合うように。んで頑張りすぎて熱出たんだろ?」
「・・・」
龍仁にはなんだってお見通しだ。
「うれしいよ。俺、愛されてんな」
そういう龍仁に佳子が体を離した。
「なんか、むかつく」
いつだって余裕な龍仁に佳子は自分ばかりが余裕がないように思えた。
「愛してるよ」
佳子に優しく微笑む龍仁。その顔に佳子は全部どうでもよくなる。
「風邪、うつす」
そう言いながら佳子は龍仁にキスをした。
「本望だよ。」
龍仁がさらに深いキスを贈った。
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