君がいればそれだけで。
衝撃は受けたけれど、そこまで変わってしまったという感じは無いようだ。まぁ、強いて言うのなら国に来る前に国王に言われた彼女の悪い点を知っていた事くらいだろうか。でも、ヒューにとっては精霊の国王が悪い点を言って怖がらせるなんていつもの事として捉えていたからそこまで身構えもしていなかったみたいだし、一番被害が少ないかもな。

「何で噂は知っていたんだ?」

「幼いながらに異種族は一緒に住めないって知っていたからね。王女様が迎えに来てくれたら兄さんとずっと一緒にいられるのにって思っていたんだ」

「じゃあ、本当に後一歩だったんだな」

後一歩という言葉にはっとしたのか、ヒューの目から一粒の涙が溢れた。
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