君がいればそれだけで。
家族という物が本当の所分からないけれど、絵本や童話に描かれているほど冷たくもなければ暖かくも無いんだろうな。何となくではあるけれど、依頼を遂行していく上でそうであるのだろうと学んだ。

「王女様・・・。俺は・・・一体どうすれば・・・」

明け方、ふっと目が覚めるとパルさんの話し声が聞こえた。王女はまだ起きていない。でも、手を握って俯きながら目元が光る。泣いているのか。
なぜ泣いているんだ。王女は亡くなった訳じゃない。亡くなるような病気でもないとヒューも言っていた。そこまで悲しむような事態ではないはず。
倒れる前に揉めていたが、それが原因か?いつも何でもかしこまりましただったパルさんが珍しく反論していたもんな。だとすると、何の話をしていたんだ。こればかりは本人に訊かなきゃ分からないか。他の兵士や召し使いたちに訊いた所で分かるかどうか。
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