君がいればそれだけで。
倒れられた日も少しだけ扉が開いていた。扉の上、しかも気付かないくらい片隅に小さく仕掛けがされていたという事は誰かが故意に仕組んだ物なのだろう。王女やパルさんが仕掛けた訳ではないだろうな。二人なら城を作った者たちに申し訳ないからとか言って庭で言い合うだろう。
部屋を出ていこうとした時、パルさんは集まっていた俺たちに驚いていなかった。わざと仕掛けた犯人の作戦にはまったと考えるべきか。それとも、極度に疲れていたがために気付かなかったなんて間抜けな事実があるのか。

「あの・・・、ベクウさん!・・・ですよね?」

「お前は・・・確かカタロ町の・・・花屋の娘!」

「はい!ジーニアです!」
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