君がいればそれだけで。
五章・尾を引く者
まさか・・・ね?
隣のベクウの部屋から叫び声が聞こえた。何事かと急いで行ってみたけれど、部屋の前には衣服がはだけている女中が体を震わせて座り込んでいるだけ。取り合えず白衣を女中に着せて扉を叩いたけれど反応はなし。状況だけ見たら女中がベクウに関係を持たれそうになったと考えるべきなんだろうけど、ベクウに限ってそんな事するかな。
「取り合えずこの子を安全な場所へ。ベクウ、開けてくれないかな?」
「どうした?」
「あぁ、兄さん。実は・・・」
人を掻き分けて来たのは兄さんだった。事情を説明していても、部屋の中から出てくる気配はない。王女の部屋にもいないから自室にいると思うんだけど。
「取り合えずこの子を安全な場所へ。ベクウ、開けてくれないかな?」
「どうした?」
「あぁ、兄さん。実は・・・」
人を掻き分けて来たのは兄さんだった。事情を説明していても、部屋の中から出てくる気配はない。王女の部屋にもいないから自室にいると思うんだけど。