君がいればそれだけで。
考え込んで話が耳に入っていない王女の代わりにパルさんが答えると、兄さんはなるほどと納得していた。王女は周りの事を気にしながら大勢で戦うよりも、一人で一点集中出来た方が良いんだと長く一緒にいたパルさんに言われると説得力がある。

「でも、全く手を貸さないのもどうなんだ?」

「あ、安心してください。それは大丈夫です」

「何を根拠に・・・」

リズレイドの疑問に大丈夫とだけ伝えた王女だったけれど、自信に満ち溢れた表情に根拠を訊くのがやっとだった。でも、王女は微笑んだまま窓の外を見て返事はしない。
そのまま夜になり、僕は風呂に入りながら王女の笑みについて考えていた。
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