君がいればそれだけで。
だからって訳じゃないけど、特に同性に見られたくない。筋肉がつかなくて力がない分、力使い方を工夫しているからあまり差がないように見られるらしい。でも、そう見られているからこそ女みたいだと言われる。僕はれっきとした男なんだけどな。

「・・・もう少しかかりそうだね」

「だな。湯冷めするから着てろ」

「ありがとう。洗って返すね」

頭が隠れるくらいの小さな布と上着を貸してくれたベクウが少しだけ格好良いなと思いながらジーニアが部屋を出るのを待った。着ていた上着を貸してくれただけあって暖かいけれど、それよりもベクウの匂いがして涙が溢れた。
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