君がいればそれだけで。

何も出来ないのかよ

この城の現状はいまいちよく分からないけれど、ベクウとヒューはあの女中の話に納得行っていないみたいだ。女中の事を信用していないというよりは、言葉の意味を知れれば良いという反応だな。
何にしろ、俺には関係無いか。危うくなれば助けるという事実は変わらないんだから。

「パル、皆を連れて出来るだけ遠くへ離れて頂戴」

「かしこまりました。・・・また、お会いできますよね」

「あなたが望むなら約束しましょう」

今、パルさんに向けられた王女の笑みはこの国に来てから一番優しくて温かかった。何か覚悟をしているような表情にも取れたが、パルさんですらそばにいられないのなら俺やラズハルドがそばにいても役に立たないだろう。
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