君がいればそれだけで。
我慢しちゃダメだ。本当は行きたいんだろう。王女と一緒に立ち向かいたいんだろう。だから強く手を握り締め、唇を噛み締め、体を震わせているんだろう。
良いのかよ、こんな時まで王と仕える者の立場なんか守ってさ。死んでしまったら二度と会えなくなるんだぞ。

「ばっかじゃねぇの!王女を見捨てて逃げろって言うのが最後の命令なんて俺は嫌だかんな!」

「パルさん、ここには形だけでも王女様に仕えてきた兵士や召し使いたちがいる。僕たちが残るからさ」

「どんな姿であっても絶対にまた会わせてやる。強く祈って待ってろ!」

ヒューの後押しを聞いてから、俺はパルさんの腕を掴んで来た道を戻り始めた。
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