君がいればそれだけで。
格好良くない本音をぶつけて、自分で行くとは言っていないパルさんの腕をしっかりと掴んで走っていた。この国に来てから知った。諦めを正当化させる理由のほとんどが覆せる物だと。自分以外の誰かがと思ったら助からないと。

「止めろ!王女様の命令に逆らうのか!」

「じゃあ戻れよ!この戦いが終わったら王女は王座から降りるんだろ!・・・あの方のまた会えるという笑顔、信用した訳じゃないよな」

パルさんは何も言い返して来なかった。そりゃそうだ。口では命令だからと言っていても、本当は会いたくて仕方無い。一番助けたがっているんだから。
ラズハルドとシオラが行方知れずなのも気に止めず、俺はパルさんと一緒に城へと足を進めていた。自分で他人に頼るなと言っておきながら、どこかで思っているんだ。
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