君がいればそれだけで。

俺たちはまた走り始めた。
確かに王女は不老不死だから放っておいても亡くなる事は無いんだろう。でも、亡くならないだけでこの間のように意識が無くなる事はある。怪我や事故など、何らかの理由によっては永遠に植物状態のまま生き続ける可能性もあるという事だ。そんな酷な話、放っておけるわけないだろう。

「お前は他国の兵士だろう！なぜ王女に拘る！」

「一人の生き物として好きだからだよ！王女のそばにいると楽しく生きられるんだ！ラズハルド以外でこんなに楽しめたの初めてなんだよ！」

パルさんの問い掛けに叫び返した。ラズハルドは親友以上で仲間よりも家族よりも強い絆がある。だから、楽しくても辛くてもいるだけで幸せだった。他の生き物なんていらないと思っていた。