君がいればそれだけで。
パルさんは状態を見るなり俺を呼び、町外れにある森の中へと入っていった。結構離れているけれど、城へ繋がる抜け道がこんなに遠くて良いのか。もう少し近くにあった方が便利だろう。いや、城と関係があると思われないようにわざと遠くに作ったのか。森の中のどこかへ出るんだと思わせるために。でも、それなら簡単にバレる気がするけどな。

「結構深いから離れるなよ」

「・・・まじ?」

「水が嫌いなんて言うなよ?」

パルさんが止まったのは綺麗なのに深くてそこが見えない湖だった。ここのどこかに城への抜け道へと続く場所があるのか。素潜りには自信が無いけれど、王女を助けるためには覚悟を決めるしか無いんだよな。
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