君がいればそれだけで。
城を出る前、王女が何かあるといけないからとある程度の皮膚を隠すように言っていたんだ。手袋はもちろん、太もも間である長くて穴の空いていない靴下や長袖。ズボンも裾が長くて腹まで来る物を選び、膝まである上着を着ていくよう言っていた。何か関係しているのか。
袖は長い物の半ズボンを履いているこの子が心配になり、私はおぶって移動する事にした。もちろん、後ろに転んでも大丈夫なようにこの子の上から上着を着直した。
やっぱり怖かったのだろう。鼻を啜りながら、泣き声を圧し殺そうとしているせいで嗚咽が聞こえる。体も震えている。王女には弱さを見せ、素直に甘えられるようになっていたけれどまだ他の人には無理だったか。
今までは一本の道のようになっていたが、進んでいくと部屋のような場所に出た。先程より広めで泣き叫んだり混乱したりしている者たちで騒がしい。先にラズハルドたちに会う方が利口かもな。
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