君がいればそれだけで。
人々を掻き分けて捜してみたけれど、誰もいなさそうだな。ヒューだけでもいてくれれば違うんだが、私が叫んで伝えた所で人々は納得し、大人しくしていてくれるだろうか。

「皆聞いてくれ!出来るだけ肌を隠すんだ!」

「聞いてくれないね」

「だな・・・。パルさんたちを捜すのが先か」

一応叫んではみたけれど人々の声にかき消されて自分でも何て言っているのか分からなかった。だから、もっと先に進む事にしたんだ。一本道だし、道なりに沿っていればいつかは会えるだろうと単純に考えていたから。
少年は私の背中から降りると手を握り、歩き出した。誰かに任せても良いんだが、混乱している中に置いていくのもな。
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