君がいればそれだけで。
俺が唇を噛み締めた所を見逃さなかったのだろう。王女の兄はにたっと笑ったかと思うとこんな提案をして来たんだ。

「じゃあ勝負しよう。俺が勝ったらフィリアと鬼の血を貰う。君が勝ったらフィリアとの日常を約束しよう。悪くない話だろう?」

「・・・いらない。俺は王女様に笑っていて欲しいだけだ。王女が笑ってくれるなら、俺はあなたを殺す事だって出来る」

「じゃあ殺し合いをしよう。生き残った方が欲しい物を手に入れる権利が与えられるという事で良いね?」

今までの日常が戻ったら王女は城から出ていってしまう。俺がこの国を収めなくてはならなくなる。国王なんて器じゃない。最初から無理なんだ。でも、王女が望むなら。
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