君がいればそれだけで。
医師であるヒューがいない時に身代わりになって大怪我をするなんてと焦ったんだ。出欠多量はどの生き物であっても死因になってしまうから。
いつもは様子を見ながら援護するだけで頼りないくせに、リズレイドの俺に向けられた笑顔がとても勇ましく感じてしまった。後を追うように降りてきたラズハルドの応急処置で少しは助かっただろうけれど、早く適切な処置を受けた方が良い。

「シオラ!直ぐにヒューを呼んでくれ!」

「余所見をするなっ!」

「してねぇよ、余所見なんか」

リズレイドが死んでしまう。シオラに怪我人が出た事を知らせる花火を上げてもらおうと上を向いて叫んだ時、兄はここぞとばかりの満面の笑みで武器を大きく振りかぶった。
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