君がいればそれだけで。
自分の手で止めを指すのは止めにした。まだ不老不死になっていないのだから、このまま放っておいても勝手に心臓は止まるだろう。もう手足を再生できないほど、力が残っていないのだから。

「刺せば良い。もうフィリアさえいれば俺の夢は叶うのだから。さぁ、おいで。フィリア、お兄ちゃんに血を分けておくれ」

「ありがとう、パル。止めを指さずにいてくれて。・・・ほら、これが私の血です。勝手に浴びてください」

俺たちが勝つと分かっていたのか、観覧したまま降りてこなかった王女は兄の頭を太ももに乗せた。そして、戦いで怪我をした部分を兄の体に擦り付けた。でも、流れる血は止まる事を知らない。寧ろ、不老不死になれると興奮し出したせいで量が増えている。
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