君がいればそれだけで。
海に着くと本当に王女がいた。斬られた鬼の姿はなかったが、手を合わせて泣いている。話し掛けるのも違う気がするし、かと言って隠れているのも違うだろう。
パルさんに聞いておけば良かったな。黙ってそばにいるだけで本当に良いのか。

「王女様・・・?」

「知ってる?万の血を浴びるとその種族になってしまうって話」

リズレイドの問い掛けに問い掛けで返す王女。自分がそれだとでも言うのだろうか。まぁ、ああやってすぐに斬っているような人なら万の血を浴びていようと不思議ではないが迷信だ。本当にあるはずがない。
鬼の国なら昔話として通っているがな。弱い人間の命を奪い続けた鬼が丁度一万人目の人間を殺したと同時に白い光が身を包み、大きな体は縮んで角は無くなり人間になったと。
< 18 / 300 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop