君がいればそれだけで。
リズレイドと顔を見合わせて屋根の上に上ると、ベクウと王女が見つかってしまったと笑い合っていた。本当にいた事にも驚いたけれど、ベクウと一緒にいる事が多くなったな。最近は国の事をパルさんに任せているから、ベクウの相手が出来るのだろう。
余裕が出てきた証拠か。王女のそばにいると暗殺者としての技術を上げる事が出来るとよく言っていたからな。

「王女様。いい加減舞踏会の準備をしてください」

「はーい。またね、ベクウ」

「えぇ。また手合わせください」

ベクウに手を振ると、王女は俺たちに付いてきてくれた。とても楽しそうにベクウとの事を話している姿に少しだけ胸が痛んだ。
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