君がいればそれだけで。
舞踏会用の衣服に着替えながら、リズレイドの質問の答えを探しているようだった。ずっと黙ったまま、宙を眺めたり俯いて床を見つめたり。一度深呼吸をして、俺たちを見つめた。

「後悔はしていないんだけど、私情だから申し訳無くてね。国王と直接話す時は出ているけれど、他は丸投げだから」

「パルさん、あまり感情を表情に出さないからよく分からないですけど、少なくともヒューとシオラには笑顔が増えました」

「・・・ありがとう。それだけが救いだね」

王女はリズレイドの返答に笑った。嬉しいからではなく、それだけでも希望として持っていなくてはという無理をしているような表情だった。
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