君がいればそれだけで。
鬼の力も無くなった物だからそれならもう怖くはないと人間に火炙りにされて殺されたという話だ。全世界で色んな伝えられ方をしているそうだが、何でも、ヒューの国では千の血だと言い伝えられているんだとか。

「彼が万の一人だったのですか?」

「ううん。等の昔に万は越えているの」

やっぱり迷信は迷信か。王女のどこを見て鬼だと判断しろと言うんだ。吸血鬼のような牙も無ければ角も無い。何も無い所から氷の刃を出して鬼を斬ったのだから鬼というよりは魔女だろう。
彼女の事を嫌っている訳じゃないんだ。でも、俺も混乱していて。リズレイドのようにただ強いというだけで凄いと尊敬できないんだ。どちらが本当の彼女なんだって。周りが言うようにわざと隙を見せて油断させているんじゃないかって。
< 19 / 300 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop