君がいればそれだけで。
舞踏会に出席している全ての人が俺たちに祝福の拍手をくれた。そして、鬼の国王からは願いを一つ叶えると告げられた。
俺たちは顔を見合わせた。何でも良いと言われると困るからだ。このまま王女のそばで皆と一緒にいたい。でも、俺たちが仕えているのは鬼の国王で国王を裏切るわけにもいかない。一応、今の任務が終わるまでは王女のそばにいたいと言えない。言えるわけが無い。

「ラズハルドに任せるよ」

「・・・フィリア王女のおそばに居続けたいです」

リズレイドの申し出を素直に受け取るべきじゃなかったと後悔した。すっと出てきてしまった本音が引っ込められなくなってしまったからだ。国王に怒られる。王族に罵倒される。そう思って撤回しようとした時だった。
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