君がいればそれだけで。
見てほしかった物を見せてもいまいちぴんと来ていない様子。それもそのはずか。漠然と見れば透明な陶器に入った光る液体と変な液体の入った大きな装置だもんね。

「・・・王女様の心なんだ」

「・・・。え?」

やっぱりそれを言っただけじゃ説明不足だよね。僕はもう一度、ちゃんと説明する事にした。
唯一の家族であった王女の兄が亡くなり、王女は悲しみを抱えきれなくなったけれどパルさんは国の業務で忙しい。自分のせいでもっと負担かけるわけにもいかなくて僕の所に来てくれたんだ。もう、心が限界なんだと。だから、少し手伝ってほしいと。
何だろうと思いながら僕は首を縦に振った。それで王女の心が晴れるならと、力になりたいと思ったんだ。
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