君がいればそれだけで。
エルフのようでエルフではない。鬼のようで鬼ではない。だから自分には種族と言える物がない。そうか、だからさっき鬼を斬った時の目が鬼に似ているけれど違ったのか。
鬼は戦いを好み、なるべく強い者と戦うために始める前に相手を怯ませようと恐ろしい目をする。無意識の内に出ている習性みたいな物だから何とも言えないが、王女にもそれが見られた。でも、鬼よりも悪魔よりも怖い目をしていた。だから鬼でもないという事か。

「ごめんなさい、窮屈な話をしてしまいましたね。ヒューさんとベクウさんにも伝えておいて頂けますか?国王に言われたからと言って無理にいる事はない、私から伝えるから戻りたくなったら言ってほしいと」

何で。どうして彼女はこんなにも後ろ向きなんだ。後から知り、違うと言われたくないとかか。もう少し言い方があるだろう。事実を知って俺たちが気持ち悪いと思うと思っているのか。
< 21 / 300 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop