君がいればそれだけで。
相手のために自分が苦しむ事だけが愛だと思えないのは私がひねくれているだけだろうか。わざわざ迷惑をかけないよう気を使って動いてくれた相手の行動を尊重し、甘えるのもまた愛であると思うのは違うのだろうか。

「兄さん?どうかした?」

「あぁ・・・、パルがな・・・」

「パルさんがどうかしたの?」

その日の夜、私は風呂に入りながらパルとの会話を簡潔にヒューに告げた。一瞬目を見開いて困惑しているのが気にはなったが、その時の私は追求しようとも思えなかった。
今はただ、パルの気持ちを楽にしてやれる方法を考えるので手一杯だったんだ。責任を感じすぎないよう援助するのが王女に下された私とヒューの任務だったから。
< 217 / 300 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop