君がいればそれだけで。
過去の自分を見るというのはどういう気持ちなのだろう。過去の自分と生きていくのはどういう気分なのだろう。俺には理解し得ない、現実離れした話に付いていけていなかった。

「あまり難しく考えないで。私の分身か姉妹と思ってくれて構わないわ」

「私は私になれないの?」

「それはその人によるんじゃないかしら?でも、私はあなた。そして、あなたは私。私が私でいる限り、あなたはあなたでいられるわ」

理解しがたいと思っている俺に分かりやすい関係を伝えてくれる王女だったけれど、幼い王女はそうでも無い様子だった。自分は自分として、王女とは別の人物として存在する事は出来ないのか。
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