君がいればそれだけで。
たった一人の生き物としていられないのかと不満を持っているようだった。いや、不満というよりは不安や心配か。自分が自分でいる事を前から願っていたけれど、やはりダメなのかと諦めざるを得ないというような表情をしていた。

「皆には何と説明されるおつもりですか?」

「彼女が成人してから大々的に話そうかなって思ってる。この国はもう、パルの物だから城の者に話すだけで止めておくわ」

「荷が・・・重すぎます・・・」

この国が俺の物という言葉が重かった。責任が大きすぎて押し潰されそうになった。王女がそばにいてくれていたから何とかなっていたものの、ずっと変わらないとは限らない。そばにいてくれない事も多くなっていくかもしれない。
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