君がいればそれだけで。
「・・・すみません、一つに絞れません」
「そっか。他の皆にも訊いてみようかな」
「失礼致します!」
何もないから言えないんじゃない。好きな所がありすぎて言えないんだ。何か一つなんて決められる訳がない。
俺を責める事なく、追求する事もなく。また窓の外を見始めた時だった。シオラたちが慌ただしく入ってきたんだ。息を切らしながら扉が開かないよう家具を動かし、外から中が見えないようカーテンを閉めると王女の耳元で何か呟いていた。
口の動かし方からするに、早くお逃げくださいと告げたのだろう。反逆者か侵入者でもいるのか。それならなぜ、王女は動こうとしないんだ。
「そっか。他の皆にも訊いてみようかな」
「失礼致します!」
何もないから言えないんじゃない。好きな所がありすぎて言えないんだ。何か一つなんて決められる訳がない。
俺を責める事なく、追求する事もなく。また窓の外を見始めた時だった。シオラたちが慌ただしく入ってきたんだ。息を切らしながら扉が開かないよう家具を動かし、外から中が見えないようカーテンを閉めると王女の耳元で何か呟いていた。
口の動かし方からするに、早くお逃げくださいと告げたのだろう。反逆者か侵入者でもいるのか。それならなぜ、王女は動こうとしないんだ。