君がいればそれだけで。
シオラたちの声が次第に大きくなっていく。やはり只事ではなかったようだ。でも、王女に逃げる意思が無い限り無理やり動いてもらう権利は俺たちに無い。どうすれば助けられるんだ。

「落ち着け。王女様は知っておられたんだ。知っておられてなお、逃げずにいたんだ」

「なぜ!!」

「俺たちのためにだ」

パルが言うには魔女であった王女側に付いた者たちの襲撃にあうと分かっていたらしい。それでいてなお、逃げなかったのは不公平が無いため。自分が逃げると言えば俺たちが残りたくても付いてくると分かっており、襲撃に乗らざるを得なかった者たちも連れていこうとしていたから。
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