君がいればそれだけで。
ぱらぱらと帰り始める中、俺たちに睨みを利かす者たちも少なくなかった。王女は気付いているのかいないのか、窓の近くに戻って座り直している。俺とリズレイド、ベクウは去っていく者たちを睨み返していたけれどシオラ、ヒュー、パルは呆れ顔で王女を慰めていた。
仕える者としては慰める行動が正しいのだろう。勝手とは言えど、国民だからと守ってきた者たちに裏切られたのだから落ち込んでいても仕方ない。でも、王女はそこまで気にしていなかったようだ。

「皆が責任を感じる事じゃないわ。実際、異種族であっても生まれ故郷にいたいと思っている者もいたもの」

「連れてくる前に訊いてはいたのに?」

「その時は生きるために必至だったんだろうね」
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