君がいればそれだけで。
無駄に命を落とすのは王女の本意に反する。しかし、生きたままというのは。そっちに気を取られて城の侵入を許してしまうかもしれない。でも、もう考えている時間もない。

「落ち着け、リズレイド。俺がいる」

「悪い、そうだったな!」

「あぁ。何とかなるさ」

軽くぶつかってきたラズハルドの笑顔に一人じゃない事を思い知らされた。
そうだ、今はもう鬼の国にいた情けなくて使えない兵士じゃない。この国で王女を守る、信じられる仲間のいる一人の兵士なんだ。一人で抱え込んじゃダメだ。だから鬼の国では使えないと言われ、ラズハルドも俺と兄弟だからというだけでこの国に送られた。
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